福利厚生に有用な法人ゴールドカードのサービスとおすすめのカード4選

従業員を抱える法人の代表者や個人事業主にとって、優秀な人材を確保し、継続的に活躍してもらうことは非常に重要な問題です。
働き方改革が叫ばれ、ブラック企業が敬遠される社会では、勤務形態だけでなく、福利厚生の充実度合いが職場選びに影響します。とはいえ、中小・零細企業が自力で福利厚生を整えることは難しいのが実情です。
そこで活用できるのが法人ゴールドカードの付帯サービスや特典の活用です。法人ゴールドカードには、さまざまなサービスが用意されており、福利厚生プログラムを優待利用できるカードも少なくありません。
この記事では、法人ゴールドカードを使った福利厚生と、おすすめのカードについて解説します。
この記事の目次
福利厚生にクレジットカードを使うなら法人ゴールドカード
福利厚生に利用するクレジットカードは法人カード、それもゴールドに限ります。同じ法人カードといっても、サービス内容は一般カードよりゴールドカードの方が充実しています。また、個人カードは経営者が持っていても事業用ではないため、福利厚生の用途では使い勝手が悪いためです。福利厚生を目的としたサービスもついていません。
法人カードを導入していない経営者は、この機会にお得な法人カードを見つけてください。
会社が紹介するだけの個人カードと法人ゴールドカードの違い
福利厚生の考え方は経営者によって異なる部分があります。クレジットカードを使った福利厚生として、カード会社と提携し、従業員に有利な条件の個人カードを紹介するといった考えもあります。
年会費無料や各種施設の優待サービスといった、従業員でなければ受けられない特典があれば、それも一種の福利厚生と呼べます。
しかし、法人ゴールドカードなら、個人カードを上回る福利厚生を充実させることができます。豊富なサービスの決済に使用するのが基本カードであれ追加カードであれ、支払いは会社の経費です。
従業員に支払い義務が生じるタイプの契約やカードを選ばない限り、従業員の負担はありません。お得に利用できたとしても、自分に支払いが回ってくるのでは、従業員の満足感は薄いでしょう。
法人ゴールドカードが福利厚生に役立つ2大理由
法人ゴールドカードを使った福利厚生が注目されているのは、2つの大きな理由があるためです。
福利厚生費で処理できる
まず、福利厚生にかかる費用は、事業における経費項目として正式に認められたものです。福利厚生費には、法律で義務付けられた社会保険などの法定福利費と、任意で支出される法定外福利費があります。法人ゴールドカードを利用するのは、法定外福利費です。
もし、法定外福利費がなく、会社が従業員に対して単に利益を与えているだけとなれば、それは給与か贈与の範疇となり、ここまで広がりを見せることはなかったでしょう。
しかし、法定外福利費は会社にとっては経費であり、従業員にとっては非課税の利益です。
法人ゴールドカードに付帯する充実した福利厚生サービスを利用できる
さて、福利厚生費が給与などとは別枠で設けられているからといって、それだけで法人ゴールドカードが役立つことにはなりません。法人ゴールドカードの付帯サービス・特典として利用できる福利厚生プログラムの存在が大きいです。
また、付帯サービス・特典ではなくても、法人ゴールドカードで決済すれば、内容次第でそれも福利厚生となります。
福利厚生とともに経費処理が楽になる点も社員に好まれるポイント
本来、法人ゴールドカードを導入する主な目的は経費管理を有効に行うことです。経費の決済を法人ゴールドカードに一元化することで、いつ・どこで・誰が・何を買ったかが明瞭になります。
また、仮払いや清算の必要がなくなることで、会社側だけでなく社員・従業員の側も処理が楽になります。法人ゴールドカードには、福利厚生に役立つこと以外にも従業員に喜ばれるメリットがあるのです。
次の章では、法人ゴールドカードで使える福利厚生の内容について解説します。
法人ゴールドカードで使えるさまざまな福利厚生
福利厚生には、従業員の労働環境に加え生活そのものを向上させる意義があります。そのため、法人カードで使える福利厚生にもさまざまなものがあります。
契約施設・サービスの優待利用
福利厚生プログラムで多いのが、全国各地の契約施設やサービスを優待価格で利用できるサービスです。
施設の優待サービス
- 宿泊施設
- イベント施設
- 飲食施設、その他
団体で行く社員旅行の人気が低下する一方で、自由な旅行に使えるホテルや旅館の優待サービスは人気上昇中といえます。大企業が自前で持っている保養所の利用よりも、多種多様な施設が利用できる法人ゴールドカードの福利厚生プログラムに注目が集まる時代です。
また、接待やアフター5で利用したい飲食施設にも法人ゴールドカードが役立ちます。
趣味に使える優待チケット
- 映画鑑賞チケット
- スポーツ観戦チケット
- 観劇チケット、その他
泊りがけで旅行に行ったり、食事に出かけたりする以外にも、好きな映画やコンサートを観たり、スポーツ観戦を楽しんだりといった趣味の分野でも使えるのが法人ゴールドカードです。
優待価格で予約できるサービスを使えば、仕事の疲れも癒されるでしょう。
生活全般のサービス
- 引越サービス
- レンタカー、その他
いまでは引越しやレンタカーまで、法人ゴールドカードを使った福利厚生の範疇に入っています。
福利厚生代行サービス
法人ゴールドカードの付帯サービス・特典の中で「福利厚生」と銘打っているものは、そのほとんどが福利厚生代行サービスを利用したものです。福利厚生代行サービスとは、企業に代わって福利厚生プログラムを構築し、運営するサービスです。
福利厚生代行サービスには、サービス会社と打ち合わせしながらオリジナルの福利厚生サービスを構築する「カフェテリアプラン」と、利用できるサービス内容があらかじめ用意されている「パッケージプラン」があります。
カード会社が採用しているのがパッケージプランなのか、それともカフェテリアプランなのかはともかく、少なくともカード会員としては、カードを持っているだけで利用できるため、パッケージプラン的な手軽さを活かせます。 事業が拡大し、法人ゴールドカードで使えるパッケージプランでは不足する状況になれば、福利厚生代行サービス会社を呼んで、カフェテリアプランを検討するとよいでしょう。
出張が楽になる空港でのサービス
- 空港ラウンジサービス
- 無料ポーターサービス
- 手荷物宅配サービス
- 手荷物預かりサービス
- 空港送迎サービス、その他
法人ゴールドカードの付帯サービス・特典の中でも定番といえるのが、空港関連のサービスです。国内外へ出張するビジネスマンは多いことから、内容の充実度は別にして、多くのカードが採用しています。
高額の旅行傷害保険
ビジネスでの出張や旅行など、旅先での事故に備えた高額の旅行傷害保険が付帯する点も法人クレジットカードのメリットです。
旅行傷害保険には、カード会員であれば補償される自動付帯と、旅行代金などの決済にカードを利用することが補償条件となる利用付帯の2通りがあります。カードによってどちらか一方の場合と、同一のカードで利用のあるなしで金額が変わる場合があるため要注意です。
次の章では、従業員に持たせる追加カードについての注意点を解説します。
福利厚生で持たせる法人ゴールドカードの審査と退職時の扱い
従業員が利用する法人ゴールドカードについて、審査と退職時の扱いを確認しておきます。
基本カードと追加カード
法人ゴールドカードには、法人の代表者または個人事業主が持つ基本カードと、従業員に持たせる追加カードの2種類があります。追加カードの発行可能枚数はカードによって異なりますが、ビジネスカードとも呼ばれる一般的な法人カードの場合、限定がない場合でも想定されているのは数枚です。
そのため、従業員の数が多くなれば、一般にコーポレートカードと呼ばれる大企業向けの法人カードを検討することになるでしょう。その境目は、20枚程度といわれています。
会社の信用が裏付けだが名義人となる個人も審査される
法人ゴールドカードの追加カードと審査の関係は、支払いの形態によって異なります。
ビジネス口座と本人口座のどちらで支払うかが重要
法人ゴールドカードの追加カードの発行にも審査があります。ただし、個人カードとは異なり、すでに法人または代表者の信用という裏付けがある法人カードでは、必ずしも追加カードの使用者について審査されるわけではありません。
クレジットカードの大前提は、カードの種類に関係なく、使用できる者を本人1名に限定して発行することです。したがって、カードの券面には名義人として使用者の名前が表示されます。法人カードであっても同様です。
追加カードに名義人として表示される個人が審査対象となるのは、個人決済型(個別決済型)の契約を結んでいる場合です。使用者個人の口座から利用代金の引き落としを行うため、個人の信用状況が問題となります。
ただし、個人決済型の契約であっても、会社が連帯して支払い義務を負う契約であれば、個人カードほど厳しい審査は行われない可能性もあります。
福利厚生に使用するならビジネス口座で支払いたい
追加カードの契約形態と支払方法は複数のパターンがあり、最終的な支払義務の所在も異なるため注意が必要です。たとえば、個人の口座から引き落として支払う場合でも、使用者は立替払いをしているだけの契約もあります。
経費の決済だけを目的に追加カードを使用するなら問題ありませんが、福利厚生にも使用するのであれば、従業員個人の口座は使用せず、ビジネス口座から引き落とす形態が妥当です。
福利厚生は従業員の待遇にかかわることです。また、従業員間で不公平な扱いがあってはならないため、引き落としに対応する負担をかけたり、個人の信用情報が原因で審査落ちしたりといった事態は避けた方がよいといえるでしょう。そのためにも、ビジネス口座の選択が重要です。
社員でなくなれば福利厚生もない
社員・従業員が退職した場合、当該従業員に対する福利厚生を考える必要がなくなります。したがって、法人ゴールドカードを持たせておく必要もありません。
もちろん、本来の目的である経費処理の点からも、退職した人間が追加カードを持つ理由は皆無です。
退職した社員のカードは回収が原則
追加カードの名義人となっている社員・従業員が退職したときは、速やかに追加カードを回収することが重要です。会員資格を喪失したときはカードを回収する旨を規約に明記しているカード会社もあります。
会員資格の喪失を届け出ず、追加カードの回収も怠った場合に懸念されるのは、福利厚生だけでなく、さまざまな不正利用のリスクが生じることです。
最後の章では、福利厚生での利用におすすめできる法人ゴールドカードを4つ紹介します。
福利厚生に使いたいおすすめの法人ゴールドカード4選
福利厚生に使える付帯サービスや特典の充実に加え、カードの基本性能も優秀なカード4選です。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードは、法人カード全体で見てもトップクラスの人気を保っています。
定番の法人ゴールドカードの基本情報
- 年会費は基本カードが31,000円、追加カードが12,000円です。
- 利用限度額は状況に応じて柔軟に変動する独特の仕組みです。
- アメックスブランドの高いステータスで、ビジネスシーンでの印象もよくなります。
福利厚生に使える主なサービス
- リロクラブが提供する「クラブオフ」
- ベネフィットワンが提供する「ヘルスケア無料電話相談」
- 各種会員限定イベント
- 京都特別観光ラウンジ
クラブオフは、福利厚生プログラムとして75,000以上もの施設を利用できるサービスです。VIP会員の登録料が無料に加え、施設の利用も優待されます。また、上記以外にも使えるサービスが豊富です。空港ラウンジなど出張関連のサービスが充実している点も、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードの特徴といえます。
年会費 | ポイント還元率 | ポイント名 | |
---|---|---|---|
初年度 | 2年目~ | ||
無料 | 34,100円(税込) | 0.3~1.0% | メンバーシップリワード |
発行スピード | 限度額 | マイレージ 還元率(最大) | ETC年会費 |
2~3週間程度 | 審査基準による | 550円(税込) |
- 法人格のある法人代表者向けゴールドカード
- 最高1億円の旅行傷害保険が自動付帯!
- 豊富なプロテクションサービス
- 貯まりやすく使いやすいポイントプログラム
- ビジネス・カード会員様向けイベント
- 今がチャンス!お得な入会特典
- 新規入会後にカード利用で30,000ptプレゼント!
JCBゴールド法人カード
JCBの個人事業主・中小法人代表者向けの法人ゴールドカードがJCBゴールド法人カードです。
日本ブランドの法人ゴールドカードの基本情報
- 年会費は基本カードが10,000円で、追加カードは3,000円です。ネットで入会すれば初年度は無料になります。
- 利用限度額は50万円~250万円です。
- 数あるクレジットカードの国際ブランドの中で、唯一の日本ブランドです。
JCBは国内で人気が高いだけでなく、海外でも主要都市をはじめ活用できる範囲が広がっています。
福利厚生に使える主なサービス
- 会員専用旅行会社JCBトラベル
- リロクラブ提供の「福利厚生倶楽部」
- JCBタクシーチケット
- JCBプレモカード
JCBでは会員専用の旅行会社を持っています。いろいろなタイプの社員旅行をはじめ、旅の相談に便利です。また、JCBプレモカードは2万円券まであり、福利厚生の品目としての利用に向いています。
オリコEX Gold for Biz
オリコEX Gold for Bizは、手軽に法人ゴールドカードの福利厚生サービスを利用したい法人代表者や個人事業主におすすめのカードです。
年会費が安い法人ゴールドカードの基本情報
- 年会費は2,000円と非常にリーズナブルで初年度無料です。
- 利用限度額は10万円~300万円と幅広く設定されています。
- VisaブランドとMastercardブランドを選択可能です。
法人代表者はオリコEX Gold for Biz Mを、個人事業主はオリコEX Gold for Biz Sを持つように区別されています。スペックはほぼ同じですが、Sでは追加カードを発行できません。したがって、個人事業主は基本カードで使える範囲の福利厚生を利用することになります。
福利厚生に使える主なサービス
・オリコ価格で利用できる「ベネフィット・ステーション」
ベネフィット・ステーションには、140万件もの優待サービスが用意されています。リゾート目的にぴったりの宿泊施設からグルメ、レジャー、生活関連など福利厚生プログラムに求められるサービスをお得に利用できるサービスです。
三井住友ビジネスゴールドカード for Owners
三井住友カードの中で、個人事業主でも持てる法人ゴールドカードが三井住友ビジネスゴールドカード for Ownersです。
VISAブランドのゴールドカードの基本情報
- 年会費は基本カードが10,000円で、追加カードは2,000円です。ネット入会なら初年度無料です。
- 利用限度額は50万円~300万円で、キャッシング枠も50万円まであります。
- 公式にスタートアップ企業も対象とうたっているカードです。
このカードはキャッシングが使えるなど、個人事業主を意識していると考えられます。法人限定の三井住友ビジネスゴールドカードとすみわけているようです。
福利厚生に使えるサービス
・ビジネスカード限定の福利厚生サービス
福利厚生代行サービス「ベネフィット・ステーション」を利用した福利厚生サービスです。
月会費は、同じくベネフィット・ステーションと提携しているオリコEX Gold for Bizで利用する場合と同じになっています。
まとめ
福利厚生は従業員の満足度と定着率を高め、新規採用を促進するために欠かせない要素になっています。しかし、コストを考えるとできることは限られてきます。
福利厚生代行サービスのパッケージプランなら低コストで導入できますが、法人ゴールドカードがあれば、福利厚生サービスをさらに格安で利用できるのです。
法人カードの主目的である経費管理にも使えば、福利厚生制度がタダで手に入るといっても過言ではありません。この機会に、法人ゴールドカードの導入を検討するとよいでしょう。