法人カードのポイント仕訳は雑収入が基本!詳しい仕訳方法とおすすめカード3選

法人カードの利用額に応じて付与されるポイントを収入として計上すべきなのか、勘定科目は何になるのかといった疑問の声はよく聞かれます。会計処理は厳密に行うべきものであり、不備があると税務当局に目をつけられないとも限りません。
一方で、法人カードのポイントを記帳する手間を惜しむあまり、記帳もしなければ、使い方も気が向くままにしている人が少なくない現状もあります。
しかし、ポイントの仕訳そのものは難しい作業ではなく、簡単にできるものです。また、ポイントを社長の小遣いのように使うことは避けるべきといえます。
この記事では、法人カードのポイントの会計処理や使い方について解説するとともに、ポイントを貯めやすい法人カードも紹介します。
この記事の目次
法人カードのポイントは「いまのところ」雑収入で仕訳ける
法人カードを利用して付与されるポイントの仕訳については、特別な勘定科目があるわけではなく、いまのところは雑収入として扱うのが無難です。マイルもポイントの一種といえるもので、同様に扱います。
ポイントの付与については雑収入が基本となる
法改正などで付与されたポイントの仕訳について扱いが変わる可能性はありますが、それまでは雑収入で処理するのが基本です。
以下で、具体的にポイントを利用した場合の仕訳例を紹介します。
・2,500円の消耗品をポイント利用で購入した場合
借方 | 貸方 |
消耗品費 2,500円 | 雑収入 2,500円 |
全額をポイントで支払った場合は、上記のように貸方は雑収入のみです。
・2,500円の消耗品を1,500円分のポイントと現金の併用で購入した場合
借方 | 貸方 |
消耗品費 2,500円 | 現金 1,000円 雑収入 1,500円 |
一方、ポイントだけでは不足するため現金を足した場合は、貸方に現金と雑収入を併記します。
・2,500円の消耗品を1,500円分のポイントと法人カードの併用で購入した場合
借方 | 貸方 |
消耗品費 2,500円 | 未払金 1,000円 雑収入 1,500円 |
ポイントだけで足りないケースで法人カードを併用した場合、カード利用代金の支払いは後日となるため、未払金と雑収入の併記となります。
雑収入と呼べないほどになれば専用の勘定科目を設定する
例で示したように、1,000円や2,000円程度のポイントであれば、雑収入とすることで問題ないでしょう。
しかし、法人カードの利用額が増え、結果的にポイント数が多くなれば、雑収入とするよりも、ポイントであることを明確にする勘定科目を設定した方がスッキリとします。
勘定科目は独自に設定することができるため、他の雑収入と区別できる名称をつけるとよいでしょう。
キャッシュバックも雑収入
法人カードを利用して得られるのはポイントだけではありません。カードによってはポイントプログラムではなくキャッシュバックプログラムを導入しているものもあります。キャッシュバックは文字通り現金で還元されるため、仕訳が必須です。
また、キャッシュバックも仕組み的にはポイントと同様であり、雑収入として処理することになります。額が増えた場合は新しい科目の設定を考えます。
そもそも雑収入とは何?
雑収入という勘定科目は、営業外で得た少額で重要とはいえない収入の処理に使用されるものです。他に適当な勘定科目がない収入の仕訳に便利な勘定科目といえます。
ただし、あくまでも少額で重要とはいえない前提があるため、継続的に多くのポイントが雑収入に組み込まれることは好ましくありません。
ポイントが増えると勘定科目の新設を考えた方がよいのは、こうした事情も関係しています。
次の章では、ポイントの利用を値引きと考えることについて解説します。
ポイントは値引きにあたらないのか
ポイントを利用することで、実際に支払う金額が少なくなりお得な買い物ができます。ここで生じるのが、ポイント分を値引きとする考えです。
ポイントを値引きと考えれば仕訳は起こらない
ポイントの利用を値引きと考えた場合、購入金額そのものが安くなります。つまり、仕訳の対象となる数字が存在しなくなるのです。
・2,500円の消耗品を1,500円分のポイントと法人カードの併用で購入した場合
借方 | 貸方 |
消耗品費 1,000円 | 未払金 1,000円 |
このように、2,500円の消耗品の代金は1,000円となり、1,500円分のポイントは表に出てこなくなりました。値引きと解釈することで、仕訳の手間が省けます。
高額の利用で値引きが妥当かは疑問が残る
しかし、ポイントを値引きと考えることには疑問が残ります。1,000円や2,000円ではなく、数万円というレベルになるとどうでしょうか。3万円の商品をポイントだけで購入できるケースなど、値引きと呼ぶと違和感がありそうです。
また、ポイントには経済的な価値があると考えられます。一方、値引きを受けたとしても、経済的な価値を付与されたわけではありません。商品の価格が減っただけです。結果として直接的に得する金額が同じであっても、意味が違います。経済的な価値を付与された場合、その内容や額によっては所得税の検討が必要です。
しかし、値引きで所得税を考えることは通常ありません。 ポイント利用でお得に買い物をする裏側には、このような問題も隠されています。
次の章では、ポイントの仕訳は必要ないという通説について解説します。
ポイントは仕訳しなくても大丈夫という通説について
ポイントは雑収入で仕訳すると述べましたが、巷ではポイントの仕訳は不要との見解もあり、通説といえるまでになっています。
ポイントの仕訳ルールが重視されていない現実
この記事の冒頭で、ポイントを雑収入として仕訳することについて「いまのところ」と述べました。その理由は、クレジットカードなどの利用で付与されるポイントの扱いについては、ルールそのものが重視されていない現実があるためです。
とはいえ、「営業外で得た少額で重要とはいえない収入」である以上、雑収入として会計処理するという前提があります。ところが、「重要とはいえない」ポイントのために手間をかけてまで仕訳する必要があるのかとの考えもあり、むしろ、仕訳する会社の方が少ないのではないかとさえいわれているのです。
実際、税務署がポイントの付与と利用状況を知ることは難しいといえ、仕訳をしなくてもすんでしまうという現実があります。
しかし、今後、会計処理上の「重要な収入」としてポイントが規定されるようなことがあれば、「いまのところ」という扱いではなく、もっと厳格なものとなり、仕訳しなくても大丈夫とはいえなくなるでしょう。
仕訳した方が無難であることはたしか
それでは、重要ではないポイントは通説どおり仕訳しなくてもよいのかといえば、そのようなことはありません。あくまでも雑収入として仕訳をするべきです。万一、税務署から指摘を受けた場合、重要ではないし煩雑だからという理由は通用しないでしょう。
可能性は低いものの、絶対に目をつけられないという保証はありません。
次の章では、ポイントにも公私の区別が必要であることを解説します。
法人カードのポイントは会社のもの
雑収入として仕訳される法人カードのポイントは、個人のものではなく会社のものです。
社長といえども個人的に利用するのは問題
会社のものであるポイントは、会社のために使用すべきといえます。しかし、オーナー社長が個人的にポイントを使うという話はありがちです。
小規模な会社の場合、会社イコール社長といった雰囲気もありますが、法的にはまったく別の存在です。
したがって、社長といえども私的にポイントを流用するのは控えるべきといえます。
会社のみんなで使うものに利用したい
法人カードのポイントは、会社のみんなで使うものの購入に利用するとよいです。法人カードを利用する主目的は経費処理に関する事柄の効率化であり、ポイントはオマケ的なものと考えられます。社員の休憩に喜ばれる茶菓子などの購入にあてれば、社内の雰囲気もよくなるでしょう。
個人カードで経費決済したポイントは要注意
法人カードの追加カードを使うのではなく、社員の個人カードで経費の立替払いをしている場合、その個人カードで付与されるポイントには注意する必要があります。少額なら気にするほどではないかもしれませんが、高額の経費決済に利用して相当な額のポイントを付与された場合や、累積で多額のポイントを付与された場合は、給与の一部とみなされる可能性があります。
そうした問題を避けるためには、個人カードを使った立替ではなく、法人カードの追加カード利用を考えることが必要です。
最後の章では、ポイントを貯めやすい法人カード3選を紹介します。
ポイントを貯めやすい法人カード3選
ポイントを貯めることが法人カード導入の主目的ではないとはいうものの、ポイントの貯まりやすさも法人カード選びで見逃せない要素となります。数ある法人カードの中から、ポイントを貯めやすいカード3選の紹介です。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードは、法人カードを初めて導入するケースにも、他社の法人カードから切り替えるケースにもおすすめのカードです。
カードの概要
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードは、他社のプラチナカードに相当するといわれるステータスの高さで知られています。
年会費は基本カードが34,100円(税込)、追加カードが13,200円(税込)と他社のゴールドカードよりも高額の部類ですが、それに見合う特典や付帯サービスが充実しているカードです。とくに、空港ラウンジサービスをはじめとする出張やビジネスに嬉しいサービスが豊富です。
また、他社のカードと異なり、一定の範囲の利用限度額が設定されておらず、ユーザーごとの状況に合わせた設定がなされる特徴をもっています。
そのため、スタートアップ企業でも持ちやすく、法人カード選びの選択肢から外せないカードです。
ポイントプログラムの内容
ポイントプログラムは、メンバーシップ・リワードと呼ばれており、500以上の交換アイテムの他、提携エアラインのマイルへの移行や利用代金支払への充当など多彩な利用方法があります。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードで貯まるポイントは、通常100円あたり1ポイントです。年間3,000円のメンバーシップ・リワード・プラスに参加し、ボーナスポイントプログラムに登録すれば、対象店舗での利用100円あたり3ポイント貯まるなど、よりお得に使えます。
また、貯まったポイントは1ポイントあたり最高1円で利用できます。
年会費 | ポイント還元率 | ポイント名 | |
---|---|---|---|
初年度 | 2年目~ | ||
無料 | 34,100円(税込) | 0.3~1.0% | メンバーシップリワード |
発行スピード | 限度額 | マイレージ 還元率(最大) | ETC年会費 |
2~3週間程度 | 審査基準による | 550円(税込) |
- 法人格のある法人代表者向けゴールドカード
- 最高1億円の旅行傷害保険が自動付帯!
- 豊富なプロテクションサービス
- 貯まりやすく使いやすいポイントプログラム
- ビジネス・カード会員様向けイベント
- 今がチャンス!お得な入会特典
- 新規入会後にカード利用で30,000ptプレゼント!
オリコ EX Gold for Biz
リーズナブルな年会費で手軽に法人カードを持ちたいユーザーにおすすめなのが、オリコ EX Gold for Bizです。
カードの概要
オリコ EX Gold for Bizには、個人事業主向けのSと法人代表者向けのMの2種類のカードがあります。初年度無料の年会費2,200円(税込)など基本的なスペックはほとんど同じですが、追加カードの発行ができるのはMだけです。3枚まで発行でき、年会費は無料です。Sには追加カードがないため、従業員にもカードを持たせたい場合は選択肢から外れます。
逆に、Mにはない機能としてSにはキャッシング枠の設定が可能です。ショッピングの利用限度額は、どちらも10~300万円となっています。
また、オリコ EX Gold for Bizは国際ブランドをMastercardとVISAの2種類から選択でき、それぞれのブランドのサービスを受けることが可能です。
ポイントプログラムの内容
オリコのポイントサービス「暮らスマイル」が適用され、利用額1,000円あたり1スマイルにプラス20%の優遇があります。スマイルは、200スマイルから250以上の商品に交換できるだけでなく、1スマイルあたり5オリコポイントに移行可能です。オリコポイントに移行することで、nanacoやEdyといった電子マネーなど、すぐに使えるアイテムへの交換ができます。 Amazonギフト券500円分なら、500オリコポイントで交換可能となっており、スマイル換算なら100スマイルです。
楽天ビジネスカード
楽天ビジネスカードは、年会費2,200円(税込)と手軽に持てる法人カードです。
ただし、個人カードとして楽天プレミアムカードを持っていることが前提となるため、2枚分の年会費13,200円(税込)が必要になります。それだけ払っても魅力なのが、楽天ポイントが貯まりやすい点です。
カードの概要
楽天プレミアムカードの国際ブランドはJCBとMastercard、VISAの3種類ですが、楽天ビジネスカードはVISAのみとなっています。個人カードと法人カードでは用途が異なりますが、楽天プレミアムカードの国際ブランドをVISA以外にすることで、カード利用の可能性が広がります。利用限度額は、2枚の合計で最高300万円です。
楽天ビジネスカードでは、VISAの優待サービスであるビジネスオファーも利用できます。楽天プレミアムカードの特典・サービスも含めて、トータルで活用したいカードです。
ポイントプログラムの内容
楽天ビジネスカードでは、楽天ポイントが貯まります。100円あたり1ポイントをベースとして、楽天市場での利用であれば、最大5ポイントまでアップする優遇ぶりです。楽天ポイントは、1ポイントあたり1円で商品の購入や電子マネーEdyとの交換などができます。
楽天市場での利用が多いユーザーにはメリットの多い法人カードです。
まとめ
法人カードのポイントは、たくさん貯めてお得に使うことだけでなく、会計上の仕訳や利用の仕方にも注意を払わないといけません。とはいえ、基本的に雑収入として処理するだけでよく、公私混同しなければ問題も起きないことから、難しく考えないで済みます。
重要なことは、ポイントの仕訳や利用などどうにでもなると考えないことです。正しく処理していない会社が多いとしても、真似をするのではなく、きちんと対応することで、安心して使えるポイントにしましょう。
【特徴ごとに徹底比較】利用スタイル別におすすめの法人カードまとめ!
各カード会社からさまざまな法人カードが発行されていますが、それぞれに異なる強みがあるので、どれを選べばよいのか頭を悩ませている経営者や個人事業主も多いのではないでしょうか。カード会社の商品紹介を見比べても「このカードはこの要素に秀でている」という情報はなかなか気が付かないものです。この記事では主な特徴別におすすめのカードを紹介していきます。ステータスの高いカードを持ちたい、限度額が多いほうがいい、年会費のコストを削減したいなど、それぞれの経営者によって重視する部分は異なると思います。この記事では特徴別におすすめをご紹介するので、きっとあなたの目的に合ったカードが見つかるはずです。ぜひお役立てください。