法人カードは限度額を比較して選ぼう!事業主なら知っておきたい増枠のポイント3つ!

「高額な経費の支払いで法人カードの限度額が足りず困っている」という事業主は多いと思います。
限度額を比較してから法人カードを作りたいという経営者もいるでしょう。個人向けのクレジットカードとは異なり、法人カードの限度額は事業の継続可否にも関わるほど重要です。
今回は法人カードの限度額を比較しながら、限度額の上げ方や、事業運営に支障をきたさない高い限度額のおすすめ法人カードの紹介をしていきます。
法人カードの限度額とは
カードで利用できる最高金額が「限度額」です。なお、限度額は4種類の「枠」に分かれます。それぞれの枠を確認してみましょう。
総枠 | すべての枠を合計した限度額 |
ショッピング枠 | ショッピングなどの支払いに使える限度額 |
割賦枠 | ショッピングのうち、リボ払いや分割払いに使える限度額 |
キャッシング枠 | 現金を借りることができる「キャッシング」の上限 |
「総枠」はすべての枠を合算した金額ではありません。下記のように、総枠の中にすべてが含まれるというイメージです。
総枠(100万円) | |
ショッピング枠(70万円) | キャッシング枠(30万円) |
割賦枠(50万円) |
この例の場合、総枠が100万円でも、分割払いで支払えるのは50万円までです。キャッシングで30万円を利用した場合は、ショッピングで70万円以上使うことができません。
誤解しやすい利用限度額
クレジットカードは、利用日から引き落とし日まで最長で2ヶ月ほどの期間があります。つまり、月が変わっても利用額が引き落とされるまでの間は「枠を使っている状態」になるのです。
限度額100万円の法人カードは、毎月100万円利用できるわけではありません。それぞれの枠は、実際に引き落とされてはじめて回復します。
たとえば、限度額200万円の法人カードを1月に160万円使った場合、2月下旬に引き落とされるまでの間は残枠が40万円となります。2月の上旬に100万円を決済しようとしてもカードは使えません。
追加カードの限度額も総枠に含まれる
追加カードが発行できる法人カードも少なくありませんが、追加カードの限度額は親カードの総枠に含まれます。
たとえば、限度額100万円の法人カードで追加カードを3枚発行した場合、カードの合計は4枚になりますが、総枠は400万円になりません。4枚合計の総枠が100万円となるのです。
利用限度額は審査で決まる
限度額はカード会社による個別審査で決定されます。法人カードの限度額審査条件は、主に下記の通りです。
- 保有クレジットカードの利用額
- 保有クレジットカードの限度額合計
- 返済、支払い状況
- 収入
- 業種
- 事業歴
それぞれの条件をカード会社が総合的に判断したうえで、個別限度額が弾き出されます。
カード情報はカード会社で共有されている
ほぼすべてのカード会社は「CIC」という信用情報機関に加盟して、下記のような情報を共有しています。
- 住所
- 氏名
- 限度額
- 作成したカード
- 返済状況
なお、銀行や消費者金融などが加盟する信用情報機関も含めて3つの信用情報機関があり、各機関の間でも情報を共有しています。つまり、カード会社は、ローンの返済状況や他社での利用額を簡単に把握することができるのです。
ゴールドやプラチナカードは限度額が大きくなる
ゴールドやプラチナカードは限度額が高く設定される傾向にあります。代表的な法人カードの限度額をランク別に比較してみましょう。
一般 | ゴールド | プラチナ | ||
JCB | 限度額 | 10万円~100万円 | 50万円~250万円 | 150万円~ |
年会費(税込) | 1,375円 | 11,000円 | 33,000円 | |
三井住友 ビジネスカード for Owners |
限度額 | 10万円~80万円 | 50万円~200万円 | 200万円~500万円 |
年会費(税込) | 1,375円 | 11,000円 | 55,000円 | |
オリコ EX Gold for Biz | 限度額 | 10万円~300万円 | ||
年会費(税込) | 2,200円 |
オリコ EX Gold for Bizはゴールドランクのみの設定ですが、最高300万円の限度額を実現しています。また、アメックスのビジネスカードのように、ランクを問わず限度額の上限を設定していない法人カードも。
- クレジットカード専門家 菊地崇仁 解説
- 個人の場合は利用可能枠をそれほど気にしなくても良い場合も多いでしょう。個人で100万円程度の枠が設定されている場合、よほど高額な買い物を続けない限り限度額オーバーになることは少ないです。
- 法人の場合も、会社の備品購入だけに使うのであれば限度額はそれほど気にしなくても良いですが、仕入れなどが必要な業種の場合は100万円程度の枠はすぐにオーバーしてしまいます。最初からそれなりに高額の利用可能枠が必要な場合は一般カードではなくゴールドカードやプラチナカードを選びましょう。
- 一般カードでも、利用実績に応じてそれなりの利用可能枠になる場合もありますが、やはり実績が必要です。
- もちろん、ゴールドカードでも最初から高額な利用可能額が設定されることはありませんので、延滞なく利用し続けるのがポイントです。
次の項目では、限度額で悩まないための「限度額の目安」を解説していきます。
法人カードに必要な限度額は月間利用額の2倍
法人カードの限度額は毎月の平均利用額を基に計算するのが理想ですが、それだけでは適切な限度額の設定はできません。ここでは、限度額の正しい目安を解説します。
目安は月間利用額の2倍
法人カードは利用してから実際に引き落とされるまで、最長で約2ヶ月の期間があるので、限度額は「毎月の支払額×2」を目安にする必要があります。
ただし、あまりにもギリギリの設定では急な出費に対応できないので、下記のように、少し多めの限度額設定を目指してください。
- 毎月の平均支払額40万円→限度額100万円
- 毎月の平均支払額60万円→限度額140万円
限度額に余裕があれば、思わぬ枠不足によるカードの利用停止といった悲劇を防ぐことも可能です。
次の項目では、法人カードの限度額を上げる方法を紹介します。
法人カードの限度額を増額する方法3つ
ここでは、法人カードの限度額を増やす方法を3つ紹介します。
- 支払い実績を積む
- 増額審査を申し込む
- 一時的な増額も可能
それぞれ見ていきましょう。
その1:支払い実績を積む
多少時間はかかりますが、支払い実績の積み重ねは確実で最短な方法です。法人カードは種類を問わず、初めから最高限度額の設定をされることはありません。審査の内容にもよりますが、限度額100万円の法人カードなら、30万円前後の設定からスタートするのが一般的です。
法人カード作成直後の限度額が思っていたより低かったとしても、あきらめずにコツコツとカードを使い続けてみましょう。法人カードにもよりますが、早ければ半年程度で限度額が上がることもあります。
その2:増額審査を申し込む
カード会社に直接限度額の増額を依頼する方法です。ただし、審査の結果によっては増額を断られることもあります。
とくに、下記に該当する事業主は、増枠審査の通過が厳しくなるでしょう。
- 返済遅延をしている
- 限度額ギリギリまでカードを使っている
- 利用期間があまりにも短い
- 他社カードの利用状況がよくない
また、増額審査に落ちたからといって短期間に増額審査の申し込みを繰り返していると、それだけで「財務状況がよくない」と判断されることがあるので注意が必要です。
その3:一時的な増額も可能
突発的な出費で限度額が不足してしまった場合に、一時的な増額ができる法人カードもあります。
増額期間が過ぎれば元の限度額に戻ってしまいますが、審査の難易度は比較的低いので、恒常的な増額申請よりも認められる可能性は高めです。
法人カードを複数枚作るという方法もあり
思い通りに限度額が上がらない場合には、複数の法人カード作って合計限度額を増やすという方法もあります。限度額30万円の法人カードでも、4枚保有していれば120万円の枠を確保することが可能です。
ただし、審査基準に「保有カード枚数」を入れているカード会社がほとんどなので、保有カード数が多い場合には、新規の法人カード作成は難しいでしょう。
すでに複数枚の法人カードを保有している場合には、支払先によってカードを使い分けるなどの対応が可能です。
次の項目では、限度額の高さが特徴のおすすめ法人カードをご紹介します。
限度額で徹底比較!おすすめの法人カード5選
ここでは、おすすめの法人カードの限度額や特徴を比較、紹介していきます。限度額の設定がないカードや、一時的な増枠ができるカードもあるので、事業規模に応じた使いやすい法人カードを選んでみてください。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
一律の限度額を設定していない法人カードです。利用状況やそれまでの支払い実績によって個別に限度額が決められます。
急な出費や支払いで限度額を超えた決済をしたいときに役立つ「事前承認」制度も特徴。予想外の高額な支払いでも、スムーズなカード決済が可能です。事前承認は、国内外を問わず、専用ダイヤルに電話をするだけで申し込むことができます。
ステータス性の高さは、法人カードのなかでも群を抜いています。世界中で通用する高いブランド力は、さまざまなビジネスシーンで活用できるでしょう。限度額の高さだけではなく、信用力と柔軟性の高さを兼ね備えた法人カードを探している方にはおすすめです。
年会費 | ポイント還元率 | ポイント名 | |
---|---|---|---|
初年度 | 2年目~ | ||
無料 | 34,100円(税込) | 0.3~1.0% | メンバーシップリワード |
発行スピード | 限度額 | マイレージ 還元率(最大) | ETC年会費 |
2~3週間程度 | 審査基準による | 550円(税込) |
- 法人格のある法人代表者向けゴールドカード
- 最高1億円の旅行傷害保険が自動付帯!
- 豊富なプロテクションサービス
- 貯まりやすく使いやすいポイントプログラム
- ビジネス・カード会員様向けイベント
- 今がチャンス!お得な入会特典
- 新規入会後にカード利用で30,000ptプレゼント!
ダイナースクラブビジネスカード
利用限度額の設定はなく、申込者の信用履歴や事業実績によって個別に限度額が定められます。
限度額を超えた決済をしたい場合には、カードを利用する10日ほど前までに「オーソリセンター」に電話をするだけで対応してくれます。車や家屋などの購入にもカードが使えるので、法人カードをフル活用したいプロフェッショナルにもおすすめです。
大切な接待などにも活用できるワンランク上の料亭やレストランの手配もしてくれます。追加カードの年会費は無料、枚数無制限で発行できるのも魅力です。
JCBプラチナ法人カード
初めから150万円という高い限度額が設定される、即戦力タイプの法人カードです。上限の設定はなく、150万円以上の限度額は個別審査で決められます。
国内外のホテルや航空券、レンタカーなどの手配やレストランの予約など、24時間365日ビジネスをサポートしてくれる「コンシェルジュデスク」は、プラチナカードならではの手厚いサービスといえるでしょう。
また、世界各国の豪華な空港ラウンジを利用できる「プライオリティーパス」が付帯しているので、世界中を走り回る事業主にとっては頼りになる1枚になるはずです。
JCBプラチナ法人カード
国際ブランド

対応電子マネー
- 国内旅行保険
- 海外旅行保険
- ETC
年会費 | ポイント還元率 | ポイント名 | |
---|---|---|---|
初年度 | 2年目~ | ||
33,000円(税込) | 33,000円(税込) | 0.49%~ | Oki Dokiポイント |
発行スピード | 限度額 | マイレージ 還元率(最大) | ETC年会費 |
通常2~3週間 | 公式サイト参照 | 無料 |
- いつでも対応してくれるコンシェルジュデスク
- プライオリティ・パスに登録可能
- グルメ・ベネフィットの利用可能
- 最高1億円の海外・国内旅行保険が付帯
- カード利用でポイントが貯まる
ライフカード「ビジネスライト」
一般カードでありながらも、最高200万円という限度額設定が特徴です。年会費が無料なので、ランニングコストをかけずに高い限度額の法人カードを活用することができます。
ただし、ポイントプログラムがないので、利用金額に応じたポイントを貯めて活用することはできません。付帯特典よりも年会費の安さと高い限度額を重視する事業主におすすめです。
オリコ EX Gold for Biz
最高300万円の限度額を実現している、ゴールドカードランクの法人カードです。開業間もない法人や個人事業主でも作りやすいので、限度額の高い法人カードの導入を考えている事業主には最適。
1.1%という高い還元率で貯めたポイントは、Amazonギフト券やTポイントなど交換できるので、経費削減にも役立ちます。
おすすめ法人カードの限度額を比較
ここで改めて、おすすめした法人カードの限度額を比較してみましょう。
法人カード名 | 年会費(税込) | 利用限度額(総枠) |
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド | 34,100円 | 一律の制限なし |
ダイナースクラブビジネス | 29,700円 | 一律の制限なし |
JCBプラチナ法人 | 33,000円 | 150万円~ |
ライフカード「ビジネス ライト」 |
無料 | 10万円~200万円 |
オリコ EX Gold for Biz | 2,200円 (初年度無料) |
10万円~300万円 |
それぞれに魅力的な法人カードですが、年会費や限度額、毎月の決済額を考慮したうえで、自分にピッタリの1枚を選択してみてください。
まとめ
今回の記事では、法人カードの限度額を比較しながら、限度額を増やす方法や、自分に適した限度額の法人カードの選び方などを解説しました。
経営者にとって限度額の高さは死活問題ともいえます。高い限度額とビジネスに活用できる付帯特典が魅力の法人カードを選んで、枠不足に悩むことのない円滑な事業経営を実現させましょう。
【特徴ごとに徹底比較】利用スタイル別におすすめの法人カードまとめ!
各カード会社からさまざまな法人カードが発行されていますが、それぞれに異なる強みがあるので、どれを選べばよいのか頭を悩ませている経営者や個人事業主も多いのではないでしょうか。カード会社の商品紹介を見比べても「このカードはこの要素に秀でている」という情報はなかなか気が付かないものです。この記事では主な特徴別におすすめのカードを紹介していきます。ステータスの高いカードを持ちたい、限度額が多いほうがいい、年会費のコストを削減したいなど、それぞれの経営者によって重視する部分は異なると思います。この記事では特徴別におすすめをご紹介するので、きっとあなたの目的に合ったカードが見つかるはずです。ぜひお役立てください。
月々使用する額の2倍は必要!?法人カードの限度額について解説
個人事業主や中小企業の経営者の人の中には法人カードの導入を考えている人も多いのではないでしょうか。ただいざ法人カードを選ぶとなると、「法人カードの利用限度額はどれくらい必要なのか?」と心配になる人もいるでしょう。実は、法人カードの利用限度額は月々に使用する金額の2倍以上が理想です。それ以下だと法人カードが利用できず、現金決済に陥る可能性があり、会社の経理が複雑になったり、現金を用意しなければならないのでキャッシュフローが厳しくなったりします。そこでこの記事では、法人カードの利用限度額について以下のようなことをお伝えします。利用限度額とは何か、法人カードは利用限度額が月々利用する額の2倍必要な理由、法人カードの利用限度額はどのように決まるか、法人カードの限度額は増額する方法、限度額に「一律の制限なし」の意味、法人カードは利用限度額が大きい方が良い理由、この記事をお読みになれば、法人カードの利用限度額のことがはっきりとわかります。どうぞ最後までお読みになってください。