有料よりもお得?年会費無料の法人カードの特徴とメリット・デメリットを徹底解説

法人カードは、経費の支払いや管理をはじめ付帯サービスや特典をビジネスシーンで活かすことができる、企業にとって必要不可欠なアイテムです。
ただし、法人カードを持とうと思うと、基本的に年会費がかかってしまいます。
法人カードに発生する年会費はさまざまですが、おおよそ1,000~50,000円はかかってしまいます。
法人代表者や個人事業主の中には出来るだけ、カードに維持コストをかけたくない方も多いのではないでしょうか。
しかし、年会費無料や格安価格で法人カードを持てたとしても、使い勝手が悪ければ利用価値は薄れることになります。
今回の記事では、
- 年会費無料の法人カードの種類
- 年会費無料の法人カードを持つメリット・デメリット
などをまとめてみました。
そして最後に、法人カードを年会費無料で持ちたい方におすすめのカードや有料でもおすすめのカードをご紹介します。
最後まで読めば年会費無料の法人カードの特徴や有料とどちらがお得に感じるかを認識し、自社に適した1枚を選ぶ際の助けとなることでしょう。
この記事の目次
年会費永年無料の法人カードはとても少ない!
年会費無料の法人カードはいくつかありますが、その中でも年会費永年無料で持てる法人カードは、ライフカード「ビジネスライト」などごく少数です。
たいていの場合年会費無料で法人カードを持てるのは
に限られます。
こちらでは、法人カードの年会費が無料となるパターンと、ランクの高いカードの年会費の現状を解説していきましょう。
条件達成で年会費無料となるケース
カード会社の設定した、ある一定の条件を達成した場合に年会費無料となる法人カードは複数存在します。
たとえば、
- 決められた期間内に一定以上の金額を利用する
- 金額関係なしに1回でも法人カードを利用する
- 特定のサービスに登録する
などです。
カード会社によって条件は異なるものの達成難易度は比較的低い場合が多く、普通に利用しているだけで条件をクリアし、年会費無料になる可能性は高いといえます。
初年度年会費無料の法人カードはある
初年度だけ年会費無料にしている法人カードもあります。
- 無条件で初年度年会費無料
- インターネットからの入会した場合のみ初年度年会費無料
ただし、初年度年会費無料でも法人カードによって上記のように分かれているため注意が必要です。カード選びの際のチェックポイントとするとよいでしょう。
使ってみて自社に合わないと感じたら、1年が過ぎる前に解約すれば次年度の年会費は発生しません。
使い勝手の良い法人カードかどうかを見極めるための期間としても利用可能です。
ゴールド以上のランクは基本的に有料
ゴールド以上のランクの法人カードに年会費永年無料のものはなく、有料であることがほとんどです。
ただし、前にも述べたように条件達成で年会費無料、初年度年会費無料になるケースはあります。
ゴールドとプラチナの一般的な年会費
ゴールド以上のランクの法人カードは基本的に有料ですが、年会費は数千円から10万円を超えるものまでとさまざまです。
一般的にはゴールドランクで10,000円程度、プラチナランクになると30,000円~50,000円程度になるでしょう。
なお、年会費が高くなるほど付帯サービスや特典内容の充実度が上がり、カードのステータスや利用限度額なども付随して高くなる傾向があります。
高額な経費支払い、ビジネスに役立つ付帯サービス、豊富な特典など幅広く法人カードを活用したいのであれば、年会費無料の法人カードにするよりも年会費有料の法人カードを選ぶ方がコストパフォーマンスは良くなるかもしれません。
- クレジットカード専門家 菊地崇仁 解説
- カード会社にとって、カードを全く使われないのが一番の損失となり、1,500円程度の年会費を取ってもカードを全く使われないと管理コストでマイナスになるようです。
- そのため、初年度無料で2年目以降は前年の利用実績や利用状況に応じて無料になるカードなどを発行し、何とか使ってもらおうと言うのがカード会社の作戦でしょう。
- これらのカードは実質年会費無料のカードとなりますが、最近では条件なしで年会費無料の法人カードも誕生しています。
- freeeカードライトやNTTファイナンスBizカード レギュラーなどが年会費無料カードとなり、NTTファイナンスBizカード レギュラーは還元率も1%。法人カードの競争も激しくなってきており、新しく発行されるカードなどの情報収集も定期的に行うのがおすすめです。
※この記事はクレジットカード専門家 菊地崇仁さんが監修しております。
次に年会費無料の法人カードを選ぶメリットを5つ解説します。
年会費無料の法人カードを選ぶ3つのメリット
年会費無料の法人カードには以下のような3つのメリットがあります。
詳しく解説するので、チェックしていきましょう。
利用機会が少なくても損をしない
年会費無料の法人カードであれば、利用機会が少なかったとしても損はありません。
実際に法人カードが発行されたものの、自社の利用に合ってないと感じることもあるものです。そのような場合に解約したとしても、お金を払っていないので経費面のダメージを受けることがないでしょう。
審査通過難易度が低い傾向にあるので持ちやすい
年会費無料の法人カードの場合、発行の間口を広げるという目的から、審査通過難易度が低めとなる傾向にあります。
法人カードの審査基準はカード会社によって異なりますが、中には申し込み時に事業歴や実績を証明できる書類の提出を条件とすることもあります。そうなった場合、起業や会社設立から間もない方だと審査通過が難しくなる可能性が高いです。
しかし、審査難易度が低い傾向にあるのカードの場合は法人代表者の本人確認書類で済むことが多いので、申し込みが気軽にできるうえに審査通過難易度も下がります。
利用実績を積むための1枚としても適している
法人カードのアップグレードや新たな1枚を手に入れるために、手に入れやすい年会費無料の法人カードを発行して利用実績を積むことは効果的です。
まず、利用実績を積むことで、通称クレヒスと呼ばれるクレジットヒストリーが良好になります。
クレヒスは信用情報機関で共有されており、カード会社は登録情報を参考にして審査通過を判断するのが一般的な審査の流れです。
これまでの借入れに遅延や未払い、債務整理などがないしっかりとしたクレヒスであれば、カード会社も「利用代金の回収は問題なくできるだろう」と判断してくれます。結果、審査に通りやすくなるでしょう。
逆に支払いトラブルが多くてクレヒスがボロボロの状態では、カード会社の信頼は得られません。どんなに審査難易度が低い傾向にあるとされる年会費無料の法人カードでも落ちてしまう可能性が高いです。
サブカードとして所持すれば急な出費に対応できる
すでに別のカードを持っている方が、新たに年会費無料の法人カードを追加してサブカードにすることも可能です。
現在持っている法人カードでは利用限度額が足りないなど、不満や不足を感じることがあるかもしれません。そんなときにサブカードがあれば、さらに支払いの幅が広がって便利になるでしょう。
また、年会費無料で維持コストもかからないため、気軽に持ちやすい点もメリットです。
メリットを知ったら、次はデメリットを5つ解説するので合わせてチェックしておいてください。
年会費無料の法人カードを選ぶ5つのデメリット
年会費無料の法人カードを選ぶデメリットは主に5つあります。
どんな内容なのかを知っておくと、後から焦ることもありません。
ビジネスで使えるパワフルな利用限度額が設定されない
年会費無料の法人カードの場合、ビジネスに耐えられるパワフルな利用限度額が設定されないことがあります。高額な経費を支払いたいのにそれができないのは、ビジネスを行う中で大きなデメリットとなってしまうでしょう。
法人カードの年会費が高くなればなるほどに、設定される利用限度額も大きくなります。たとえば、ステータスカードとして知られるアメックスやダイナースなどの法人カードでは一律の制限を設けていません。
毎月の利用実績などを考慮して利用限度額が変動し、場合によっては他の法人カードでは困難な1,000万円などの高額利用が実現することもありえます。
それに対して前年度にカード利用があれば次年度年会費が無料となる「P-one Business MasterCard」では、ショッピング利用限度額の上限が300万円です。もちろんこれは上限のため確実に300万円が与えられる保証はなく、審査しだいで100万円や数十万円などの低い金額が設定される場合も十分ありえます。
サブカードとして持ち、利用機会が少なければ大きな問題はないかもしれません。しかし、メインカードとして使う場合は不満や不足を感じることになる可能性は高いです。
カードのステータスが低い
法人カードに支払う年会費はカードのステータスにも反映するため、年会費無料の場合はどうしてもステータスが低くなってしまいます。
もしもゴールドやプラチナなどのステータスの高い法人カードを手にしたいのであれば、ある程度の年会費を支払う必要があるということです。
法人カードのステータスなんか意味がないと考える方もいるかもしれませんが、ビジネスを行う中で影響がまったくないわけではありません。取引先との接待や会食の支払い時にゴールドやプラチナを使えば経営が順調な印象を与えやすいです。一方で、年会費無料の法人カードだった場合は逆の印象を与える可能性もあるでしょう。
ポイント還元率が期待できない
年会費無料の法人カードでは、一般的なクレジットカードではよくあるポイント還元率が低い、もしくは制度そのものがない場合があります。
法人カードの場合、仕入れ代金の支払いなどで利用金額が高額になる可能性が高いでしょう。そこでポイント還元がなければ、本来得られるはずのポイントが使えません。
利用金額が大きくなればなるほどに大きなデメリットとなると言えるでしょう。
追加カードの発行可能枚数が限られている
年会費無料の法人カードの場合追加カードの発行上限枚数に制限があって、社員に渡す法人カードが足りなくなってしまうことも。
不足した場合、新たに法人カードを発行するにしても時間や手間がかかりますし、審査に通過するかどうかもわかりません。
また、上限枚数の問題はクリアしても追加カードの年会費が落とし穴になることがあります。基本カードの年会費が無料だったとしても、追加カードで年会費が発生したら維持コストは上がってしまいます。
そうなるとせっかく年会費無料の法人カードを選んだとしても、あまりお得とは言えない結果になってしまうでしょう。
付帯サービスが有料のカードと比べて充実していない
年会費無料の法人カードの場合、付帯サービスについても有料カードのような手厚さや充実度は期待できないでしょう。
有料の法人カード、かつステータスが高いカードですと空港ラウンジの利用や国内外旅行傷害保険の付帯が当たり前のようにあります。しかし、年会費無料の法人カードの場合は付帯そのものがない、あったとしても補償金額が低いです。
ただし、記載がなかったとしても不正利用の補償はどの法人カードにもありますから、その点は安心できます。
最後に法人カードを年会費無料で持ちたい方におすすめのカード3枚と有料ではあるもののおすすめできる法人カードを1枚ご紹介します。
法人カードを年会費無料で持ちたい方におすすめのカード3選
法人カードを年会費無料で持ちたい方におすすめのカードが以下3枚です。
三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック)
「三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック)」はインターネット入会を行うことで初年度年会費無料となり、翌年以降は「マイ・ペイすリボ」というサービスに登録かつ年1回以上のカード利用で年会費無料となります。
「マイ・ペイすリボ」とはあらかじめ引き落としの際の上限を決めて、その上限を超えた利用金額分がリボ払いになるというサービスです。しかし、この上限を高めに設定しておけばリボ払い時の不安は払しょくでき、年会費無料で使えるようになります。
もしも上限を超えてしまったとしても、マイ・ペイすリボの手数料が発生した月はポイント還元率が2倍です。これは1円でも超えれば対象となるので、上手に利用すれば年会費無料だけでなく高還元率法人カードとしても役立つでしょう。
ライフカード「ビジネスライト」
ライフカード「ビジネスライト」も年会費永年無料で持てる法人カードです。
国内外旅行保険の付帯やポイント制度はありませんが、サブカードにしたい、あるいは付帯サービスはシンプルで良いと考える方であれば、コストもかからないおすすめの1枚です。
P-one Business MasterCard
「P-one Business MasterCard」は初年度の年会費が無料、そして1年目に1回でも利用すれば2年目以降の年会費も無料となる法人カードです。実質年会費無料で持てる法人カードは数えるほどしかないため、維持コストをかけずに持ちたい方におすすめでしょう。
その他にも、キャッシング上限300万円という高額設定がされている点も特徴です。
まとめ
こちらの記事では、年会費無料の法人カードの現状をはじめメリット・デメリットなどを解説。そして、法人カードを年会費無料で持ちたい方におすすめのカードや有料でもおすすめのカードをご紹介しました。
記事のポイントは以下の通りです。
- 年会費無料の法人カードには「永年」「条件付き」「初年度」の3つがある
- 年会費無料のカードで利用実績を積んで、グレードアップも実現しやすい
- 年会費無料と有料では付帯サービス内容や特典の充実度に違いがある
- 利用限度額や付帯サービスの活用度しだいでは有料を視野に入れても良い
法人カードを選ぶ際は、自社がどんな使い方がしたくてどんなサービスを求めるのかをあらかじめ考えてから候補を絞ってください。
そして、法人カードが発行できたらビジネスの中で有効活用していきましょう。
【特徴ごとに徹底比較】利用スタイル別におすすめの法人カードまとめ!
各カード会社からさまざまな法人カードが発行されていますが、それぞれに異なる強みがあるので、どれを選べばよいのか頭を悩ませている経営者や個人事業主も多いのではないでしょうか。カード会社の商品紹介を見比べても「このカードはこの要素に秀でている」という情報はなかなか気が付かないものです。この記事では主な特徴別におすすめのカードを紹介していきます。ステータスの高いカードを持ちたい、限度額が多いほうがいい、年会費のコストを削減したいなど、それぞれの経営者によって重視する部分は異なると思います。この記事では特徴別におすすめをご紹介するので、きっとあなたの目的に合ったカードが見つかるはずです。ぜひお役立てください。
- 監修者紹介/クレジットカード専門家 菊地崇仁
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三児の父であり家計のやりくりをすべて担当。ポイントのみならず、クレジットカードや保険なども守備範囲で、近年は投資にも挑戦している。 57枚のクレジットカードを保有し、約120万円の年会費を支払っている。一般カードからプラチナカード等のプレミアムカードを実際に保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。すべてのカードを利用し、おトクな使い方、おすすめの使い方を日々研究中。